赤白帽子は赤の方が白より表面温度が10度も高い!!




赤い帽子が熱いことが科学的に証明される

理科で「黒の方が白より熱を吸収する」ことを学習しているので、

  • 夏は白っぽい色の服、冬は暗い色の服の方がいい
  • 暗い色の帽子の方が頭が熱くなる

などのことは、経験上感じている方も多いと思います。

体育の授業で使う赤白帽子も、そのことを考えると、「赤の方が頭が熱くなり、白の方が熱くならない」と想像がつきます。
私も、チームで分かれて活動するとき以外は、夏場は全員白色にするように指導していました。

経験上は確実だろうと思っていたのですが、エビデンスがないのが難点でした。しかし、このことについて、科学的に証明した研究成果が公表されたのです。

健康・スポーツに関するデザインを研究している武蔵野美術大学、北徹朗教授の研究室では、炎天下での赤白帽などの表面温度を測定し、白い帽子よりも赤い帽子の方が、表面温度が10度も高くなることを突き止めた

2021年9月21日 教育新聞「小学校で使われる赤白帽子 赤は白より表面温度が10度高く」

研究をまとめたのは武蔵野美術大学大学院博士後期課程1年の服部由季夫さんです。服部さんは普段は星槎(せいさ)大学准教授として、労働衛生を専門にしていますが、その一環で武蔵野美大の北徹朗教授(スポーツ産業論)の指導を受け、同大大学院生として教育現場での熱中症対策を研究しています。

研究方法

7月22日に武蔵野美大(東京都小平市)の人工芝グラウンドで帽子の表面温度を測定しました。
当日は快晴で、最寄りの気象庁観測地点である府中市の最高気温は33.2度でした。

測定は授業時間帯の午前8時半~10時に実施。小学校低学年児童を想定した高さに置いたマネキンに赤と白を含め計9色の帽子をかぶせた。帽子の素材は各色とも綿100%、ポリエステル100%、綿35%・ポリエステル65%混紡3種類を用意した。

素材に関わらず、赤・青・紺は大幅に温度上昇

その結果、開始時はどの帽子も28度前後だったのが、赤は各素材とも15分後には約20度上昇。終了直前に混紡が最も高い56.8度を記録し、他の2素材も大差ありませんでした。
赤は熱エネルギーを吸収しやすく、一度上がった温度が低下しにくいためとのこと。

青や紺などもほぼ同じでした。

2021年9月19日 東京新聞「赤白帽の赤色は熱中症の危険性『白や黄が望ましい』武蔵野美大の大学院生、11月に学会で発表」

白、黄、ピンクは熱エネルギーを反射

 一方、熱エネルギーを反射する白は最も高かった綿100%でも46.8度に抑えられ、黄とピンクも同様の結果でした。このため、赤の代替色としてはこの両色が適切としています。

独立行政法人日本スポーツ振興センターが2014年にまとめた調査によると、学校管理下にあった時に熱中症となった小学生の26%は体育の授業中に発症しています。

服部さんは次のように指摘しています。

服部由季夫さん

子どもは大人に比べて発汗機能が弱いため熱中症になりやすい。特に体育は学級全員が参加するため、多数の子どもが発症するリスクが高い

今後、防暑効果が高い素材やデザインを検討し、メーカーなどに提案していくということです。

11月に学会発表

研究の成果は11月16日に開かれる日本教育実践学会で発表されます。

参考:2021年9月19日 東京新聞「赤白帽の赤色は熱中症の危険性『白や黄が望ましい』武蔵野美大の大学院生、11月に学会で発表」

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