中教審特別部会で若手支援の新職を提言か




 教員の働き方改革などを議論してきた文部科学省の中教審「質の高い教師の確保特別部会」が4月19日の第12回特別部会で、給特法の「教職調整額」の増額を求めるなどの提言の素案をとりまとめる予定であることを以前お伝えしました。

 この素案では、給特法の見直しのほかに、「小学校の教科担任制を3・4年生に拡大」と、「教諭と主幹教諭の間に新たな職を加える」ことも検討していることがわかりました。

 

どのような制度か

 この制度は、一般の「教諭」と、管理職をサポートする「主幹教諭」の間に、中堅教員向けの新たな職を設け、給与も増額するというものです。教給与とする方向だ。定年によるベテランの大量退職が続いて若手が増えており、中堅による若手へのサポートの強化につなげたい考えです。

 ポストが新設されれば、2008年度の教育基本法の改定で制度化された主幹教諭以来となります。

現状の制度は

 学校組織は大きく分けて、校長や教頭ら「管理職」と、教員を取りまとめる「主幹教諭」、「教諭」で構成されています。文科省は、全体の約9割を占める教諭のなかに、若手教員への指導や助言を担う新たなポストを設け、職責に応じて給与を上げる考えとのことです。

 学校現場では近年、大量採用世代の退職に伴い、教員の採用が増加しています。

学校現場が多忙化するなか、ベテランの主幹教諭よりも若手教員に近い立場で、指導や助言をする役割が求められている。

というのが文科省の考えです。また、教員中間層の給与増につなげ、処遇の改善を図る狙いもあります。

東京都の事例では

 東京都は09年度から、主幹教諭と教諭の間に「主任教諭」のポストを独自に設けています。都教育委員会が経験8年以上の30歳以上の教諭から任命し、給与も増額している。主任教諭は全体の4割弱を占めており、新設されるポストへの任用が都教委と同じ割合だとした場合、全国で20万人規模となると試算できます。

 文科省は来年以降の義務教育費国庫負担法の政令改正などを視野に入れているとのことです。

 指導教諭との違いは?

2009年の教育基本法改定の際、「主幹教諭」のほかに「指導教諭」という役職も新設されました。

「指導教諭」とは、子どもたちに対する教育に加えて、教諭・職員に対しても指導や助言も行なう教諭のことである。 指導教諭は学校教育法改正に伴い、2009年から創設された新しい役職だ。 その職務の級は特2級で、3級である教頭と2級である教諭の間にある。

指導教諭|教育キーワード集 | 東京教育研究所 より

この提言では、新設される新たな職と、すでにある「指導教諭」との違いが判りません。

すでに研修が多すぎる

 教員研修として、「教育公務員特例法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律」に定められている、「初任者研修」「中堅教諭等資質向上研修(かつての10年次研修)のほかに、多くの自治体で「2年次研修」「3年次研修」「5年次研修」などが行われています。

教職経験者研修・職階研修・その他の研修等 令和4年度実施状況調査結果

他にも、中堅教員が若手教員を支える「メンター研修」も盛んに行われています。

研修が負担で授業準備に支障をきたす場面も多く見られる中、これ以上研修や指導者を増やしてどうするのでしょう。新たな研修の仕組みを作るのなら、現行の仕組みは見直し、軽減すべきです。

参考:

質の高い教師の確保特別部会(第12回)の開催について:文部科学省

担任教員、手当増 若手支援強化へ新職 文科省方針:朝日新聞デジタル

 




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