中教審特別部会で小学校の教科担任制の拡大も提言




中教審特別部会で、教科担任制の拡大も提言

 教員の働き方改革などを議論してきた文部科学省の中教審「質の高い教師の確保特別部会」が4月19日の第12回特別部会で、給特法の「教職調整額」の増額を求めるなどの提言の素案をまとめる予定であることを以前お伝えしました。

 この素案では、給特法の見直しのほかに、小学校の教科担任制を3・4年生に拡大することも検討していることがわかりました。教科ごとに専門の教員が教える「教科担任制」は、現在小学校の高学年(5、6年)で導入していますが、それを中学年(3、4年)に拡大するというものです。

なぜ「教科担任制」の拡大が進んだのか

 小学校の多くは学級担任がほぼ全ての教科を教えていますが、授業準備などの負担が大きく、長時間労働を常態化させているとの指摘があります。そのため学級担任の負担を減らし、授業の質を向上させるため、高学年は教科担任制が導入されましたが、それを中学年にも拡充しようとするものです。

 しかし、現状の高学年の教科担任制は、中学校のように専門の教諭が教えている訳ではありません。国語や算数なとば担任が自分のクラスを教えつつ、他の教科は学年間で分担しています。一見教える教科が減ったことにより、「負担減」のようにも見えますが、担当する授業時間が減るわけではないので、負担が軽減するわけではありません。むしろ、自分のクラス以外の複数の子供の名前を覚える、評定をする、ということを考えると、負担増になっているとも言えます。

小学校の「教科担任制」は本当に負担軽減になるのか

 他に問題になっているのが、若手の先生にとって、「教えたことのない教科が増える」ということです。「今年理科を4クラス教えるんだけど、教師4年目で初めて理科を教えるんです。」などの悩みを打ち明けられたり、相談されたりすることが増えました。

 この制度を中学年に拡充しても、負担減にも、質の向上につながるとも思えません。特に、「教科間の指導の関連」「カリキュラムマネジメント」の観点からは、一人の先生がそれぞれの教科の学習内容を関連されて教えたほうが、効率的ですし、負担軽減にもつながります。

 大切なのは、見かけ上の負担軽減策ではなく、授業力向上が負担軽減につながるような研修制度の充実や、授業に専念できるような働き方改革の実現でしょう。

参考:

質の高い教師の確保特別部会(第12回)の開催について:文部科学省

小学校の教科担任制、3・4年生に拡大へ…中央教育審議会が素案提出の見通し : 読売新聞




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