教員「特別免許状」指針の改定案 ハードル下げ、積極的活用促す 




中教審で特別免許状の積極活用を了承

 文部科学省は24日、教員免許を持たない社会人を教職に登用する際に与える「特別免許状」制度について、これまで以上に自治体が活用しやすくするために見直した運用指針案を中央教育審議会(中教審)初等中等教育分科会教員養成部会の部会に提示し、了承されました。専門人材を採用するために設けられた制度ですが、地域によって活用にばらつきが目立つため、積極的に採用に役立てるように求めてきます。小規模校などで「教科・科目充実型」の遠隔授業を推進するため、免許外教科担任の許可に関する指針も改めます。

自治体によって運用にばらつき

 文部科学省では都道府県教育委員会に向けて特別免許状の積極的な授与を促しており、2022年度の特別免許状の授与件数は500件に上るなど、近年増加傾向にあります。しかし、群馬県、富山県、石川県、宮崎県はゼロで、これまで自治体によってかなり運用にばらつきがありました。

部会に出席した埼玉県戸田市教委の戸ケ崎勤教育長は、この運用について、

多様な人材の活用に資すると期待したい。

と述べました。

 また、22年12月の中教審答申「『令和の日本型学校教育』を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について~『新たな教師の学びの姿』の実現と、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成~」で特別免許状に関する運用の見直しが提言されたことからも、「特別免許状の授与に係る教育職員検定等に関する指針」の改訂を行うことにしたのです。

指針案の内容

改定された指針案では、特別免許状の授与だけでなく、採用や研修も含めた総合的な指針に位置付けを見直し、都道府県教委などに対し、

  • 個別のホームページ(HP)を作り分かりやすく広報する
  • 特別免許状の授与を前提とした採用試験の積極的な実施
  • 任期付きや非常勤として任用できるようにする
  • 教科に関する専門的な知識経験・技能を過度に重視しすぎない

など、制度活用のハードルを下げる項目が盛り込まれました。この日の部会では、採用手法の好事例を集めた文科省の緊急調査の結果も公表。テレビドラマと連動した広報など自治体のユニークな取り組みが報告されました。社会人の活用などと合わせ、モデルケースを全国的に広げて教員不足の解消につなげる考えです。 

 一部の自治体では、一つの競技で実績を収めたアスリートが保健体育科の全般に関する知識があるのかを不安に感じて採用をためらうケースもあったとのこと。改定された指針では、そうした場合でも、特別免許状を授与できることを明確に打ち出したと言えます。

免許外教科担任の指針も改定

 合わせて、その教科の教員免許状を持っている教員が確保できず、やむを得ず他の教科の教員が授業を受け持つ際などに認められる免許外教科担任の許可に関する指針も改訂。小規模校などで増えている「教科・科目充実型」の遠隔授業で、受信側の教室に配置しなければならない教員についての免許外教科担任の発令を解消できるとしました。

委員の発言

 特別免許状の授与促進について、戸ヶ﨑勤委員は、

高校は多くても小中は少ない。この活用の差が大変大きい実態がある。今後は、都道府県・政令市ごとに全体の数だけではなく校種別の授与数の公表も行っていくべきではないか。

と述べ、義務教育段階でも特別免許状の授与を増やすよう強く働き掛けていく必要性を強調していました。

 松田悠介臨時委員(Teach For Japan創業者・理事、Crimson Education Japan 代表取締役)は、

民間から教員になる際に、自治体によっては社会人経験が給与に反映されず、民間の頃よりも給与が下がったり、同年代の教員よりも給与が低かったりするケースがある。

特別免許状が授与されて入職する際の給与の算出モデルの情報収集と開示、もしくは国の方で算出モデルをいくつか作って周知していくのに取り組んでいくことで、よりフェアで魅力的な待遇になり、多くの人が関心を持つようになる。

と提案しました。

 一方で山辺恵理子臨時委員(都留文科大学文学部国際教育学科准教授)は

広げるのは賛成だが、どこかでゲートキーピングの必要はあると思っている。採用時もそうだが最初の研修が非常に大事になるのではないか。(指針では)その研修を各自治体に任せているような書き方になっている。教員養成課程は全国で同じ基準でやっていて普遍性がある。子どもの人権や発達、心理を学ばなければいけないのに、なぜ研修でそれらを扱わないかは疑問が残る。共通で研修すべき内容はオンデマンドでもいいので、あった方がいいのではないか。

と、特別免許状を授与された人の教員としての質の担保について問題提起しています。

 浜佳葉子委員(東京都教育長、全国都道府県教育委員会連合会長)も

難しいのは、特別免許状が出た後に長期的に教員として働いていただくことだ。専門分野は詳しいけれども、教員としてのベーシックなところをどう身に付けていただくか。学校現場としてはそこをどれくらい信頼できるかによって、なかなか手が出ないところがある。多様な大人が関わる中で子どもが育つのは素晴らしいが、学校現場での安心感をどう担保するかが欠かせない。

と、山辺委員の意見に同意しています。

教員免許の意味は?

 教員の仕事には高度な専門性が求められるはずですし、そのための「教員免許更新制度」だったはずです。多様な人材の登用のために「特別免許状」が活用されるのはよいたですが、教員不足の解消のための活用であるのなら、これまでの更新制度や、現行の教員免許の制度との整合性がとれません。また、これまで文科省が示していた、教員の修士化の方針や教職大学院制度とも矛盾します。場当たり感が否めません。

参考:

特別免許状及び特別非常勤制度について:文部科学省

文部科学省「特別免許状の活用促進」

2024年4月24日産経新聞「教員『特別免許状』指針の改定案 ハードル下げ、積極的活用促す 文科省 – 産経ニュース (

2024年4月24日教育新聞「特別免許状を増やすため指針改訂へ 教員養成部会が了承」




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