跳び箱運動、こうすればみんなできる




昔は怖かった跳び箱

私が高学年だったとき跳び箱の台上前転が怖くて仕方ありませんでした。あの高い台から床に落ちたら、どんなに痛いだろうか。そう思うだけで、身が竦みました。だから、自分の番が来ても、友達に前をゆずって取り組みませんでした。発表会なども特にない授業だったので、台上前転をやらなくてすみました。しかし、跳び箱の楽しさを味わえずに終わってしまっていたと思います。


大学では、器械運動の授業がありました(体育大学)。講師は、元オリンピック金メダル選手です。授業の最後は、8段の跳び箱の上で前方倒立回転をするというのです。そのときも台上前転には苦手意識がありました。授業の最初に使ったのは、とても大きな立方体のクッションマットでした。これなら私も恐怖心もなく何度も挑戦できました。だって落ちませんから。前方倒立回転もエバーマットに飛び込んでいったので転んでも痛くありませんでした。自分の身体が回転するのが面白く、何度も練習しました。段々と台上前転には慣れてきましたが、やはり8段の前方倒立回転は怖かったです。跳び箱の上で倒立するくらいまで踏切から足の高さをあげなければならないのです。講師にアドバイスを聞くと、ここまできたら気合いだと言われました。恐怖心に打ち勝つ、最後はただそれだけでした。本番は、見事に成功し、単位をもらうことができました。

小学校での跳び箱学習の内容は

さて、前置きが長くなりましたが、子どもたちも跳び箱運動に取り組んでいます。小学校では、基本的に3つの技に取り組みます。開脚跳び台上前転抱え込み跳びです。この中で初めに取り組むのが開脚跳びです。この技ができなければ、ほかの技もまずできません。跳び箱の授業が苦痛でしかないでしょう。私が、小学生の頃に味わったつまらない跳び箱のイメージを子どもたちには味わってほしくないです。


できない理由は、必ずあります。身体を上手に動かせていなければ、動きを分解して一つ一つ身に付けていけばできるようになります。また、恐怖心が少しでも取り除ける場を用意することも大切です。教材研究や研修などを積み重ねてようやく100%開脚跳びができるようになる授業を行えるようになりました。

基本は開脚跳び


5年生でも開脚跳びができない子が多数いました。その子たちを集めてスモールステップで練習しました。まずは、2段の跳び箱を床に置いて助走なしで跳ぶ練習です。手を跳び箱の端のほうに着手して、反対側まで跳びます。これは、みんなできます。ポイントは着地のときに足を閉じることです。閉じるためには、ある程度、踏み切って身体を浮かせなければならないので、ちょっと難しいです。でも繰り返していくうちにみんな、できるようになります。これができると3段の跳び箱は、全員跳べます。なれてくると4段でも跳べます。助走と踏切が入ると急にできなくなる子もいますが、補助してタイミングをつかめば大丈夫です。この日の授業でも「先生!初めて開脚跳びできた!」「もっと跳びたい!楽しい!」「よーし!5段跳ぶぞ!」というように初めて開脚跳びができた子たちがたった1時間でぐんぐん成長しました。

恐怖心をいかになくすか


台上前転や抱え込み跳びの授業もしました。この2つの技の恐怖心は大きく、できない子もたくさんいます。しかし、場を工夫して個別に対応することで、100%まではいきませんが、95%くらいの子はできるようになります。ポイントは恐怖心をいかになくす場をつくるかです。

台上前転


台上前転では、マットを積み重ねた場でまずは前転をしてみます。マットの高さは、跳び箱の2段くらいです。最初は、二の足を踏んでいる子も落ちないとわかるとどんどん練習します。次は、エバーマットの上で台上前転をします。エバーマットの高さは、跳び箱の4段くらいです。エバーマットはふかふかでとても大きいので絶対に落ちませんし、痛くありません。腰を高く上げて回る感覚をつかんでもらいたいので、踏み切る位置にばね付きのロイター板を設置して身体を少し浮かせます。あんなに怖がっていた子たちがトランポリンに乗るようにぴょんぴょんロイター版で踏み切って台上前転する姿は見ていていいものです。

抱え込み跳び


抱え込み跳びは、足を閉じて跳ぶときに、跳び箱に足がひっかかって転ぶのではないかという恐怖心があります。ここでもエバーマットが有効です。2段の跳び箱を用意して着地するところには、エバーマットをおきます。エバーマットは開くと2段の高さになるので跳び箱とエバーマットの高さは同じくらいになります。

子どもたちには、踏み切ったら正座の格好でそのまま跳んでごらんと言います。私が手本を見せて正座のまま跳んでそのまま着地しました。エバーマットにボフッと埋まります。全く痛くありませんし、ひっかかって手から落ちても安心です。子どもたちはエバーマットで転がるのが大好きです。正座で着地するたびに埋まったり、転がったりするのが楽しいみたいで何度もチャレンジしていました。ある程度慣れてきたら、着地する瞬間に足を戻して足の裏で着地するように伝えます。そうするとほとんどの子は、抱え込み跳びができるようになっています。後は、段数を高くしたり調整版をいれたりして難易度を高めていきます。


今までできなかったことができるようになる。今までよりも高い段数で遠くからダイナミックに跳べるようになる。それが跳び箱運動の醍醐味です。子どもたちが楽しく生き生きと学べていて良かったです。

※この記事は、小学校教諭「イマシュン」さんの投稿です。




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