義務教育は無償のはずなのに家庭負担が大きい理由は・・




「義務教育は無償(タダ)」なはずなのに、なぜこんなにお金がかかるの?と思っている方も多いと思います。

日本国憲法第26条2項は

  • すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする

となっています。これを普通に解釈すると「無料」と読めてしまいます。


しかし、それを定めている法律(教育基本法)第4条は、このようになっているのです。

  • 国民は、その保護する子女に、九年の普通教育を受けさせる義務を負う。
  • 国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料は、これを徴収しない。

「義務教育は無償」が「授業料は徴収しない」になっています。
なぜこのように定めたのかを、文部科学省は次のように解説しています。

「授業料は、これを徴収しない。」
  憲法は「義務教育は、これを無償とする。」と規定しており、この「無償」とは、「子女の保護者に対しその子女に普通教育を受けさせるにつき、その対価を徴収しないことを定めたものであり、教育提供に対する対価とは授業料を意味するものと認められるから、同条項の無償とは授業料不徴収の意味と解するのが相当である」と解するのが通例である。
  なお、現在は教科書無償措置法等により、義務教育段階においては国公私を通じて教科書も無償となっている。

文部科学省WEBサイトより

しかし現実には、学校には授業以外の様々な活動があり、授業も無償化されている教科書だけで行えるものではありません。

そのため、学校の活動や授業に関わる様々な物品(紙類、チョーク、テレビやパソコンなどの備品、実験器具など)は市町村の経費で購入するのですが、学校やクラス全体で使わない、個人でつかうものは経費で購入することができず、テスト、ドリル、図工の教材などは、「私費」として各家庭から徴収することになるのです。

 2020年2月20日東京新聞の記事には、その金額や費目を次のように挙げています。

私費で賄っているものの例は制服や道具箱、アサガオなどの栽培キット、実験用教材、ドリル・ワークなど=イラスト参照。ただ、公費と私費の線引きは財政事情などから、市町村や学校によって異なり、将来子どもの所有品になるものは私費となるケースが多い。文部科学省によると、公立小中学校に通う子どものいる保護者の年間負担額は小学生で一人約十万円、中学生で同約十八万円に上る。

2020年2月20日 東京新聞 TOKYO Webより

多くは月600円〜800円の金額を「学年費」として銀行引き落としで徴収し、それでテストやドリルなとを購入。それでは賄えない習字セット、絵の具セット、裁縫セット、遠足代などをその都度徴収することになります。

東京新聞の記事では、なるべく私費負担を減らし、公費負担にできるよう配慮している、学校事務職の働き方を紹介しています。

勤務校では柳沢さんの赴任前、教室のカーテンのクリーニング代を私費でまかない、保護者から生徒一人につき年額約二百円を徴収していた。だが、四年前からは洗濯機を公費で購入し、校内で洗濯している。一人一冊ずつ購入していた社会科資料集(地理、歴史、公民合わせて約二千百円)は教室の大型モニターに別で用意した資料を映す方式に変え、不要になった。

 新年度からは、体育館専用シューズと上履きの二種類が必要だったのを上履きに一本化。こうした取り組みを重ね、私費を年一万円以上減らすことができた。

2020年2月20日 東京新聞 TOKYO Webより

このような取組はとても大切なのですが、「個人で使う物は私費で購入」という線引きが変わらない限り、焼け石に水になってしまいます。

柳沢さんは「学校側は『数百円だから』と気軽に私費に頼りがちだが、経済状況によっては家計を圧迫する」と指摘。「義務教育は無償という憲法の理念からすれば、公立小中学校は本来、公費で運営されるべきだ」と話す。

2020年2月20日 東京新聞 TOKYO Webより

子どもの貧困率が上がっている現状では、これらの私費購入分を補助する「就学援助」では十分に賄えない実態があります。

各自治体が「私的に利用するものも公費購入できる」としてくれればいいのですが、現状は財政面や法の解釈等の問題で難しいでしょう。

海外には、義務教育に掛かる費用全て無料の国もあります。
学校教育法第4条「授業料は、これを徴収しない」をどうすればいいのか、これからも注目する必要があるでしょう。

参考記事:「『公費』以外の教材、制服… 保護者の負担 年十数万円」2020年2月20日 東京新聞TOKYO Web




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