教員不足の実態を考える




『朝日』の調査によれば、教員不足には地域によってバラツキがあるようで、その理由を「非常勤講師の使い方に差があるためだ」としている。
そして、記事はこう続ける。
「常勤講師が見つからない場合、非常勤講師をあてるかどうかは教委によって異なり、調査では47教委が「非常勤をあてた」と答えた。一方、熊本、茨城両県のように、『非常勤講師をあてない』と答えた教委は、未配置が増える傾向にある」

 これでは「未配置は非常勤講師を活用していないから」だと聞こえる。同記事の説明によれば、非常勤講師とは非正規教員のなかでも「パートタイム」の講師だそうだ。つまり、必要なときだけ雇える非正規教員ということになる。

 パートタイムを活用しないから未配置が増える、というのは、まるでコンビニの経営のようでもある。人手不足は、コンビニにとって常態化した課題になってしまっている。その原因のひとつは、賃金の安さだ。

2020年2月9日 BESTTIMESより

「常勤講師(臨時任用的職員)が見つからないときに非常勤講師を充てる」理由をこの記事では「安く雇いたいから」としていますが、実際にはそれ以上に「常勤はしたくない」という人が多く、常勤講師(臨時任用的職員)の見つからず、やむを得ず非常勤を雇う、という場合が多いのです。

義務教育における教員の給与は、3分の1を国が、残りを自治体が負担している。

国としては定数分の3分の1の予算を地方に渡すが、その使い方は「裁量次第」という仕組みだ。

 たとえば、定数として数えられる正規教員1人の収入を便宜的に年間600万円だとすると、その3分の1である200万円が国から自治体にわたる。本来であれば、自治体は400万円を負担して正規教員1人を雇わなくてはならない。

 それが総量裁量制では、国からの200万円を教員1人分として使う必要がない。300万円で1人を雇い、国からの200万円から100万円を出せば、自治体の負担も200万円で済む。もともと1人分として使わなければならない国からの200万円、自治体負担分400万円を使えば、それで2人を雇うことができる。
 定数を守っていれば1人しか配置できないが、これなら2人を配置できることになるのだ。

 ただし本来の半分の賃金しか払わないのでは、正規の教員が納得するはずがない。そこで、非正規教員を採用するわけだ。正規社員の給料では必要人員を確保できないので、パートやアルバイトといった低賃金労働者で補うのと同じである。

2020年2月9日 BESTTIMESより

定員1人に給料で2人を雇うのは、この記事の通り「トリック」なのですが、その「トリック」すら活用できず、足りない人員を現場で働いている人で負担し、疲弊が進んでいるのが実情なのです。

問題は、資格のいらないコンビニでも低賃金では人が集まらないご時世に、そんな低賃金で働く教員免許取得者が都合よくいるかどうか、である。

2020年2月9日 BESTTIMESより

非常勤講師の時給は自治体によって違うのですが、一般的に2,000円〜3,000円です。この時給を高いと見るか安いと見るかは人それぞれですが、一般的なパート、アルバイトの2〜3倍です。
正規採用職員よりは安いですが、正規職員が残業代が出ていないことを加味すると、実質的な時給は管理職でも2,000円〜2,500円です。
一概に非常勤講師の時給が「安い」とは言えないのです(正規職員の給与が安すぎるとも言えます)。




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