「先生が足りない!教育現場の悲鳴」から、学校の人材不足の実態を見る




2019年5月8日 論座RONZAより

「教員採用試験の倍率が下がっている」「先生のなり手が減っている」ことは最近マスコミに取り上げられるようになってきましたが、「定員割れの学校が続出している」ことは、まだあまり知られていないのではないでしょうか。

この記事は、「教員不足の実態」「正規職員と非正規職員の違い」「教師の仕事の大切さ、大変さ」について、よくまとめられています。

「うちの学校では講師の先生がみつからず、教員一人一人に割り振られる仕事が増えて、もう大変です」

「講師がみつからなかったので、教頭先生が〇年〇組の担任になりました」

「『申し訳ないけど、先生がみつからなかった。足りない先生の分をふんばってほしい』と校長から訓話があった数日後に、30代の先生が勤務できなくなってしまいました。鬱病だそうです」

「もう教育委員会はあてにならない、だれか講師をやれそうな知り合いはいないか、って朝会で校長先生がおっしゃったんですけど、そんな人知ってたら、とっくに報告してますよね」

2019年5月8日 論座RONZAより

この記事に書かれていることは特別なことではなく、日本中の学校で言われていることです。実際私もこのような現場を何度も見て来ました。

定員割れしている人材は、臨時任用職員(臨任)、それでも埋まらない場合は非常勤講師が担当することになります。

臨時任用職員(臨任)は正規採用職員のようにフルタイムで働く職員、非常勤講師は特定の教科のみを受け持つ時間講師(アルバイト)です。

実は、2001年以降の構造改革の結果、学校教育現場では、正規雇用教員のポストが減らされ続け、その枠の一部が非正規の枠に振りかえられてきた

文科省調査によれば、2005年(H17)に8.4万人(12.3%)だった非正規教員の割合は、2011年(H23)には11.2万人(16.1%)へと増加した。(参照:文部科学省「非正規教員の現状」『非正規教員の任用状況について』P.1

次に、臨時的任用教員数の推移(参照:文部科学省「公立小・中学校の臨時的任用教員数の推移」『非正規教員の任用状況について』p.3)を見て欲しい。その内訳をみても、国から人件費の補助が出る「産休・育休をとった先生の代わりの先生」の数(棒グラフの青い部分)よりも、各自治体の裁量によって採用されている臨採の先生の数(棒グラフのピンクの部分)が増えていることがわかる。

このように、非正規枠でしか雇用できない先生のポストが増え続けているのに、そこに応募してくれる人がみつからないのが、いまの学校の実態なのだ。

たとえて言うなら、正社員の採用枠が減らされ、アルバイト枠になってしまったのに、そのアルバイト枠に応募してくれる人材が枯渇してしまい、人がみつからない状態になっているのである。

2019年5月8日 論座RONZAより

このデータは、20110年のものです。約10年前でさえこの状況だったのですが、今から振り返るとこの頃は今と比べると「だいぶまし」なのです。
10年前は、教育委員会に臨任・非常勤の照会をしたとき、時間がかかっても見つからないということはなかったのですが、今は委員会に連絡しても「今は登録者を使い切っているので、学校で探して欲しい」と言われるのです。

本来は、産休・育休代替、療休代替などの「フルタイム教諭の替わり」は、臨任が受け持つのですが、臨任が見つからないため、本来臨任が行うべき仕事を非常勤講師が受け持つことが増えてきています

そのため、臨時免許を発行する自治体も増えています。

また、教育委員会が究極の「奥の手」を使って、急場を凌いでいる場合も少なくない。これは、教員免許をもっていない人に「臨時免許状」を与えてしまう方法だ。

臨時免許状とは、都道府県教育委員会が、人物や学力などを見て特別に授与する助教諭と養護助教諭の教員免許のことで、有効期間は3年とされている。たとえば、音楽の先生が足りないから、かつて幼稚園教諭をしていたがすでに退職した主婦をみつけて、小学校音楽科の臨時免許状を与えて、勤務してもらう、というような窮余の策になる。

2019年5月8日 論座RONZAより

公立学校で授業をちゃんとするというお仕事は、一般に考えられているよりも、ずっとずっと難しい、専門的な力量を求められる仕事なのだ。負うべき責任・負わされている責任は、あまりにも重い。

2019年5月8日 論座RONZAより

負うべき責任の重さと、賃金や待遇にギャップが大きすぎること、そのギャップを今まで教員の責任感とやり甲斐に依存していたことが、今の人材不足の根本的な原因だと考えられます。

そして、誰よりも教職が高度な専門職であることをよくわかっている教育委員会が、自ら臨時免許状の発行に踏み切らなければならない事例が8000件以上になっているほど、センセイがみつからない事態が進行しているということなのだ。

2019年5月8日 論座RONZAより

現実問題として、教員採用試験の倍率が下がり、産休・育休・療休の先生が増加している現状では、採用を増やそうと思っても増えないでしょう。
今できることは、非常勤講師(フリーランス教師・アルバイト教師)の待遇をよくすること、臨時免許で先生になった人に適切な研修が受けられるようにすることだと考えます。

「先生が足りない! 教育現場の悲鳴」2019年5月8日論座RONZAの記事はこちら




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