2022年度 第3回 メディア教育研究会「PBLによるSTEAM教育」報告




プログラムの概要

日 時:2022年8月27日(土)14:00〜16:30

場 所:横浜・上大岡 ウィリング横浜研修室にてハイフレックス開催

テーマ:「PBLによるSTEAM教育」

講 師:岩崎有朋先生(鳥取県教育センターGIGAスクール推進課係長)

プログラム

  1. オープニング挨拶(後藤)
  2. 講演会&ワークショップ「PBLによるSTEAM教育」(岩崎先生)
  3. 事務連絡(鈴木)

1.オープニング挨拶(代表:後藤)

 参加者へのお礼と岩崎先生の紹介がありました。

2.講演会・ワークショップ「PBLによるSTEAM教育」

PBL・STEAM教育とは

岩崎先生は,鳥取県の中学校教諭の経験を経て,鳥取県教育センターで勤務をされております。GIGAスクール構想がひと段落して,今はデジタル田園都市構想に向けた教育での取り組みにご尽力されています。PBLによるSTEAM教育について,「進まないんだけど,どうしたもんかね?」という問題意識のもと,話をしていただきました。

教育政策の資料から「協働の学び」としてPBL(Project Based Learning:プロジェクト型学習)が紹介されていることに触れて,これらが探究・STEAMにつながっていく設計がなされていることを説明されました。現在,鳥取県では,STEAM教育を推進できる先生方を育成する研修を実施推進しています。

PBLとは,実世界(自分の手の届く範囲,身近な取り巻く社会)に関する複雑な問題をプロジェクトとして扱う学習です。その学習過程は,一般的な研究活動(テーマ設定,仮説,先行研究のレビュー,情報を調査,考察,発表・レポート)と同様です。その中でも「展示・発表」「試行錯誤」「建設的批評」の3点が肝要になります。鳥取県戸田市戸田東中学校生徒の実践成果があります(https://youtu.be/joif6NdMqHo)。

STEAM教育とは,各教科等に固有の知識や考え方を統合的に働かせて解決する,分離の枠を超えた学びのことです。こちらも実社会の課題解決に向けた学習のあり方です。中教審答申では,高等学校での実施が示されていますが,小・中学校段階から取り組んでいくことが重要になります。ヒントになるサイトとして,STEAMライブラリー(https://www.steam-library.go.jp)があります。

したがって,PBLによるSTEAM教育を進めていくことが非常に大切になってきます。総合的な学習(探究)の時間と,STEAM教育は大変近い概念ではありますが,違いもあります。総合的な学習(探究)の時間では探求のプロセスを重視しますが,STEAM教育では探究・創造による試行錯誤を重視します。そのため,教師は,子どもの見取りと学習のコーディネート(カリ・マネ)が主となる仕事になります。

ワークショップ「総合的な学習の時間を見直そう」

ここからは,架空の中学校の総合的な学習の時間の指導計画を見直すワークショップを行いました。Googleクラスルームにアップされた課題に対して,Jamboardを使って整理・分析を行っていきました。

 出された気づきを基にしながら,探究プロセスに分解する作業を行いました。指導計画を「テーマ探索」「課題の設定」「情報の収集」「整理・分析」「まとめ・表現」に当てはめていきました。すると,「整理・分析」に当てはまる学習内容がありません。

サンプル事例では,「整理・分析」が抜けていたのです。具体的な手立てとして,統計による分析,思考ツール,テキストマイニングなどで分析することが示されています。また,思考ツールなども,活用できる場面です。

そこで,どのような手立てができそうか,参加者でアイディアを出し合いました。

また,カリキュラムデザインをする上では,身につける資質能力を明確にする必要があります。内容知(覚えている,理解している)なのか,方法知(実行できる,適用できる)なのか,はっきりさせることが必要です。さらに,21世紀型スキル,ICT活用などを指導計画に位置づけることで,より実行可能で内容のある学習活動にしていくことができます。ここではIwami 10 skills(鳥取県岩美町立岩見中学校)や広島・修道中学・高等学校の修道ベーシックルーブリック(https://gakugai.shudo-h.ed.jp/guide/pamphlet/basicrubric/html5.html)などが紹介されました。

どうやって進めていくか

 同時多発的に,指導計画の改善と実践を行っていくことで「百匹目の猿現象」(ある行動,考えなどが,ある一定数を超えると,これが接触のない同類の仲間にも伝播するという超常現象の実例)を目指していきたいのです。そのためには「暗黙知」を「形式知」に変換していくことが必要です。モワモワした感じをアウトプットすることで,さまざまな人からフィードバックをもらえるようになります。それによって,新たなモワモワが生まれ,さらによりよい実践につながっていきます(SECIモデルをベースに紹介していました)。

今,考えられる課題について,チャット,Jamboard等を通じて共有・議論していきました(そのうちのいくつかを紹介します)

このような手立てを通じて,各校での実践が広まっていくことで子どもたちがワクワクしながら学習に取り組み,よりよい社会へと発展していくことを願っています。

岩崎先生からのメッセージ

今,できていないことは,マイナスではない。次の授業への道標です。ぜひチャレンジしていきましょう!

3.事務連絡(事務局長:鈴木)

 次回は令和4年11月19日(土)14:00〜 オンラインで実施します。




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