2019年12月27日 日経WEST『「どこが悪い」「窃盗だ」 波紋広がる教諭の給食パン1000個持ち帰り』より
高校の先生が余った給食を持ち帰って処分(減給3ヶ月)された後依願退職したニュース。賛否両論の意見が飛び交っています。
「食品ロスを減らすのはいいこと。処分はおかしい」
「これは横領に当たるだろう。やっぱりよくない」と
市教委にも深刻化する食品ロスの問題の視点から「どこが悪いのか」「処分が重すぎる」と教員を擁護する声が多く寄せられる一方で、給食が公費で賄われていることから、処分は妥当とする意見も届けられている。市教委では残食を減らす仕組み作りや、残食の処分方法について検討を始めた。
2019年12月27日産経WEST『「どこが悪い」「窃盗だ」 波紋広がる教諭の給食パン1000個持ち帰り』より
私もこのニュースを最初に聞いたときは「厳しいなぁ。この先生の気持ち分かる」だったのですが、ニュースをよく調べるうちに「処分は妥当。仕方ない」に変わりました。
私も食品ロスはとても問題にしていますし、自分のクラスで指導するときは「完食して食品ロスをなくす」ことを目指します。
この場合、一番問題になるのが、「給食費は全額公費負担。当該教諭はお金を払っていない」ことです。
市教委が問題視したのは給食が公金で購入されたものであることだ。堺市教委事務局教職員人事課は「弁護士にも相談しました。廃棄予定とはいえ無断で持ち帰るのは『微妙だが、窃盗にあたる』とのことでした」と説明する。
近畿大の鈴木善充准教授(財政学)は「今回の件では、教諭が給食費を自分の食費に充てているということになる。例えば会社から備品を持ち帰るのと同じこと。窃盗や横領はいけないと教える立場の人間がこのような行為を行うことに問題がある」と指弾する。
文部科学省は学校給食衛生管理基準で「児童生徒に対してパンなどの残食の持ち帰りは衛生上の見地から禁止することが望ましい」と定めていることから市教委は「学校には給食を出す側としての責任があります。範を示すべき教員が規則を守らないのはやはりよくないと思います」と話す。
2019年12月27日産経WEST『「どこが悪い」「窃盗だ」 波紋広がる教諭の給食パン1000個持ち帰り』より
食中毒防止等の安全面の配慮から、余った給食の持ち帰りは禁止です。
しかし、自分で購入したものなら、余ったものを自宅に持って帰ることは、情状酌量の余地があると思うし、生徒の残りを持って帰るのも、「譲り受けた」と解釈することもできます。
しかし、「全額公費負担」なら、市の財産を無断でもって帰ったことになるので、やはり横領になってしまいます。
例えるなら
「賞味期限の切れたコンビニの食料品を、お客さんが無断で持って帰る」
「粗大ゴミに出されている廃棄物を持って帰り、自宅で使う、転売する」
ことと同様です。
上の例も、「食品ロスを減らす」「資源の有効活用」ですが、無断でやったら問題になりますよね。
「残った給食がもったいない」「食品ロスを減らしたい」という問題意識は素晴らしいと思います。しかし、教育を司る公務員という立場を考えると、合法的に対応すべきでした。
そして、このように問題は、生徒が問題意識をもつ「チャンス」です。そして「深い学び」につながる絶好の「教材」だととらえるべきです。教師は教育の力で問題解決すべきなのです。
しかし、処分については仕方ないと思うのですが、退職することはないと思うのです。退職した(せざる終えなかった)のは、別の理由があるのではと勘ぐってしまうのです。
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