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GIGAスクールが始まったばかりなのに 情報教育課を廃止 「修学支援・教材課」に! なぜ?

情報教育・外国語教育課を廃止、「修学支援・教材課」を設置

 文部科学省の「情報教育」を担当する組織は、以前は「生涯学習政策局」の「情報教育課」でしたが、2018年10月の機構改正により「生涯学習政策局」が「総合教育政策局」に改組された際、担当局が「初等中等教育局」に変わり、「情報教育・外国語教育課」となりました。

 それからわずか3年後の2021年10月1日、機構改正により、「情報教育・外国語教育課」を廃止し、それに代わって「修学支援・教材課」を設置することを、9月17日の閣議で決定しました。

 GIGAスクール構想理による1人1台端末の普及が整い、情報教育の大切さが益々重要になる今日、「情報教育・外国語教育課」を廃止するのはなぜなのでしょう。

ICT活用を局全体で後押しするため

 文部科学省はその理由を「ICT活用を後押しするため、これまで担っていた業務を局内の各局で担当するため」としています。

 文科省は10月1日から初等中等教育局にある「情報教育・外国語教育課」を廃止し、これまで担ってきた業務を局内の各課で担当する。
 「1人1台」の端末整備が進んだ学校でのICT活用を局全体で後押しするためだとしている。17日の閣議で同省組織令の改正を決定した。
 代わりに初等中等教育局には「修学支援・教材課」を新設する。小学校から高校までの就学援助や修学支援金を所管する他、ICTの環境整備や教材整備指針の改訂などを担う。
 

2021年9月17日 日本教育新聞「端末整備、担当課を廃止へ 局内全体で促進 文科省」

萩生田大臣「初中局挙げて取り組むため」

 萩生田文部科学大臣は9月24日の閣議後記者会見で、、「GIGAスクール構想は環境整備から、利活用を促進するフェーズに移行している」ため、「情報教育・外国語教育課を発展的に解消させる」と述べました。

児童生徒1人1台端末の実現など学校における情報環境が飛躍的に進展している中で、教育課程、指導方法、教科書など、学校教育に関する制度や運用全般について、これまでにない変化をもたらしている。」

「学校におけるICTの活用については、情報教育を担当する課のみに閉じるものではなく、初等中等教育局を挙げて取り組む必要があるという考えから、情報教育・外国語教育課を発展的に解消することにした。」

2021年9月24日 教育新聞「学校ICT「利活用のフェーズ」 文科相、初中局再編を説明」

修学支援・教材課は「整備を後押し」

修学支援・教材課を新設する狙いについては

ためとしています。

つまり、整備と教育内容の担当を分離し、「修学支援・教材課」は整備を担当するというのです。

1人1台端末後の整備としては

など、積極的な利活用の促進に取り組む方針を示しました。

 来年度予算の概算要求では、全国の自治体が民間事業者を活用した広域的な「GIGAスクール運営支援センター」を構築することも説明しました。

GIGAスクールの現状について

このときの記者会見で萩生田文科大臣は、GIGAスクール構想の進展状況について

といった最近の調査結果を挙げながら、

「改善を検討していく課題も多く見つかっている」との現状認識を示しました。

そして、

「正式スタートから約半年で、自治体ごと、あるいは自治体内でも学校によって、利用方法などにまだらな点があることは現段階では認めなければならない。要は、ミニマムスタンダードをどこまで上げていくか、ということが大事だと思う。今年は『急げ急げ』と言うことが、かえって次なるトラブルを生むと思うので、この1年はまず、上手に利用していただくことをしっかり進めていきたい。その中で先進的な取り組みがどんどん出てくるから、そういったものを横展開して、できるだけ国全体の利活用のスタンダードを高めていくことが極めて必要だと思う。」

2021年9月24日 教育新聞「学校ICT「利活用のフェーズ」 文科相、初中局再編を説明」

と総括しました。
 さらに、家庭への端末持ち帰り学習の前提となる通信環境については、

「通信環境は地域格差があることは否めない。これは文科省だけでは解決できない。総務省やデジタル庁を含めて、インフラの整備をしてもらわなければならない。日本国内には、ルーターを貸し出せばそれで解決するという簡単なものではない地域も数多くある。」

「デジタル化社会を目指し、最も大切な子供たちの学び環境を整えるのであれば、通信網の整備、その利用の対価をどうするかを考えなければならない。義務教育期間の子供たちが使う通信に関しては、次(の政権)に期待しながら、環境を整えていきたいと思う。」

2021年9月24日 教育新聞「学校ICT「利活用のフェーズ」 文科相、初中局再編を説明」

と述べました。

早急な組織改変は教育内容の充実につながるのか?

 3年前に情報教育の担当が、「生涯学習局政策局」から「初等中等教育局」に移管されたとき、「いよいよ学校教育に情報教育が期待されるようになった」と思ったものでした。
わずか3年で「情報教育・外国語教育課」がなくなることについては、上述した通り、「ICT活用を局全体で後押しするため」なのですが、果たしてうまくいくのでしょうか。

 ICTの利活用は、教育の全ての場面、全ての領域で行われるこのなので、萩生田大臣のいう通り「次のフェーズ」に移行しているのなら、局全体で後押しする」のが筋でしょう。

 しかし、ICT利活用の学校間格差や自治体間格差がまだまだ大きい現状を考えると、利活用の推進を束ね、調整する課がまだあった方がいいとも思えます。
また、教育課程と機器の利活用とその整備は密接に結びついています。それぞれの課で取り組む内容を総合的、統括的に束ねる仕組みも必要でしょう。

 萩生田大臣の言う「次のフェーズ」「発展的に解消」が絵に描いた餅にならないよう、縦割りや縄張り意識を配して情報教育やICTの利活用を初中局全体で取り組むという姿勢を貫いてほしいものです。

参考:2021年9月24日 教育新聞「学校ICT「利活用のフェーズ」 文科相、初中局再編を説明」

追伸 初代課長に安彦広斉さん就任

 10月1日の人事異動で、「修学支援・教材課」課長に、安彦広斉さんが就任することが発表されました。安彦さんの前職は、初等中等教育局参事官として高校教育を担当していましたが、今年7月からは「デジタル教科書基盤整備検討プロジェクトチーム」のチームリーダーも兼任していました。
 また、2017年には情報教育課の情報教育振興室長だったこともあり、教育の情報化や、ICT利活用にとても精通している方です。

 筆者との個人的に関わりとしては、筆者が学情研に所属してていたとき、「ICT企画委員会」のメンバーとして、何度も話をしたことがあります。情報教育に精通しているだけでなく、とても柔軟な考えの持ち主なので、今回の人事は適材適所と言えるでしょう。

上の項で述べた懸念や心配を安彦さんが打破してくれることを期待しています。

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